看護学生の皆さん、実習を通して多くの患者さんと直接かかわり、学びを深める貴重な経験を積んでいることと思います。バイタルサインの測定や観察をはじめ、患者さんと向き合い、触れる場面が多い実習ですが、細かな気配りも大切です。緊張の中で実習に臨む日々かもしれませんが、患者さんが安心できるような気配りを持つことは、信頼関係の構築にもつながります。
今回は、実習中に特に意識したい「患者さんとの接し方」と「手荒れ対策」についてお話しします。どちらも日々の習慣として心がけることで、患者さんとの接触時に快適で思いやりのある看護を提供することができます。実習を重ねる中で少しずつ身につけ、自分自身も守りながら患者さんに良いケアができるよう心がけてみてください。
目次
患者さんに触れる際の気配り:冷たい手を避ける
実習中、患者さんに触れる機会が多いと思います。たとえばバイタルサインの測定時には、手や腕、首元などに触れることが避けられません。このとき、もし冷たい手で患者さんに触れてしまうと、びっくりされてしまったり、不快な思いをさせてしまう可能性があります。
特に冬の寒い季節には手が冷えがちです。患者さんに触れる前に手を温める習慣をつけることをおすすめします。例えば、ポケットに手を入れたり、少し手をこすり合わせたりして、少しでも手を温めてから触れるようにしましょう。こうした配慮は、患者さんの安心感につながり、細やかな気遣いができる看護師としての姿勢を示すことにもなります。
看護師と手荒れの関係
看護の現場で働くと、手荒れに悩まされる方が多いです。実習の段階でも、アルコール消毒や手洗いを頻繁に行うため、手の乾燥や荒れが気になることがあるかもしれません。乾燥して荒れた手で患者さんに触れると、触れられる側としても不快に感じる場合があるため、保湿ケアが大切です。
看護師は手が命とも言えるほど、手のケアが重要です。毎日ハンドクリームを使い、手の保湿を心がけることで、乾燥や手荒れによる細かな傷から自分自身を守ることができます。保湿が不足すると、手荒れが進行し、痛みを伴ったり、さらには感染のリスクが高まったりするため、日頃からケアすることがとても大切です。
日常的なハンドケアの習慣化
ハンドケアは、継続が鍵です。習慣的にハンドクリームを使うことで、手の健康を守りつつ、患者さんに不快な思いをさせることも防げます。以下は、忙しい実習生活の中でも続けやすいケア方法です。
- 実習前後の保湿ケア:アルコール消毒や手洗いをした後、ハンドクリームを少量つけると効果的です。ただし、実習中に頻繁に塗り直すことは難しいため、休憩前や授業後、就寝前など、手が空いたときに塗る習慣をつけましょう。
- 寝る前のケア:夜は少しリッチなクリームを使って保湿すると、朝までしっとり感が続きます。特に乾燥が気になる時期には、寝る前にたっぷりと塗り、手袋をつけて寝ると保湿効果が高まります。
- 自分に合ったアイテムを選ぶ:高価なものを使う必要はありませんが、保湿力があるものを選ぶのがポイントです。季節や肌の調子に合わせて、しっとりタイプやサラッとタイプを使い分けるのも良いでしょう。
患者さんとの信頼関係を築くための心がけ
看護師として患者さんに接する際、技術はもちろん大切ですが、それ以上に「思いやり」や「信頼関係の構築」が求められます。患者さんは入院生活において、家族や友人から離れた環境で生活しています。そのような状況で、看護師や看護学生からのちょっとした心配りは、患者さんの心に安心感を与えることができます。
患者さんが看護学生を受け入れてくださることは、貴重な学びの機会です。ですから、その感謝の気持ちを忘れず、患者さんの立場に立った思いやりのある行動を心がけましょう。冷たい手で触れないことや、清潔で保湿された手で接することは、患者さんに対する配慮の一部です。
病棟でできること:環境への配慮と観察力
実習中には、患者さんが不快に感じていないか、常に気を配りましょう。患者さんの表情や反応を見ながら、こちらの行動がどのように受け取られているかを観察することも大切です。例えば、バイタルサインの測定時に表情が曇っていないか、体がこわばっていないかなど、細かなサインに気づくことが必要です。
実習で身につける観察力は、看護師として働く上で非常に重要です。どのような場面でも、相手の反応を見ながら適切な行動を取ることができるよう、患者さんとの関わりの中で訓練していきましょう。
私自身の手荒れ対策経験:安価で簡単なケアで十分
私自身も、看護師として日々患者さんに接する中で、手荒れが気になることが多く、保湿には気を使っています。特に乾燥が強くなる冬場は、手荒れがひどくなるため、就寝前や休憩時などのタイミングで、ハンドクリームを塗るようにしています。個人的には、手のケアに高価なものを使う必要はないと思っています。保湿力のあるものであれば、リーズナブルなものでも十分効果があります。必要最低限のケアを習慣化するだけで、手荒れの進行を防ぐことができ、患者さんにも配慮したケアが提供できるようになります。
ハンドケアが看護師としての健康を守る理由
看護師は、常に衛生管理に気を使いながら仕事をしていますが、頻繁な手洗いや消毒で手荒れに悩まされる方が多いです。手荒れを放置してしまうと、細菌が傷から侵入しやすくなり、感染症のリスクも増加します。ハンドケアを習慣化することで、自分の健康を守りながら患者さんに適切なケアが提供できるようになるのです。
乾燥する季節はもちろん、湿度が高い季節でも油断せず、ハンドケアを継続しましょう。ベタつきが気になる場合は、夏にはサラッとしたタイプのハンドクリームを選ぶなど、自分の肌に合わせてアイテムを使い分けると良いでしょう。
最後に:思いやりの気持ちと患者さんへの敬意を忘れずに
看護学生の皆さんが実習を通して接する患者さんは、皆さんにとってかけがえのない学びのパートナーです。患者さんが安心してケアを受けられるよう、また不安を和らげられるよう、思いやりのある行動を心がけましょう。自分のケアが患者さんの安心感にどうつながるかを意識しながら実習に臨むことで、看護師としての姿勢が自然と身についていくはずです。
また、患者さんに不快を与えないためには、手荒れのケアも大切です。少しの気遣いと習慣化したハンドケアで、自分も患者さんも安心できる環境を作りましょう。看護師として成長するための一歩一歩を、日々の行動の中で確実に積み重ねていってください。